持続可能な発展、グリーン経済、社会的責任 ― これらは単なる「流行語」に過ぎないのでしょうか。それとも、すでに企業活動の指針となっているのでしょうか。
ONE-VALUEの創業者兼CEOであるフィ・ホア氏によれば、持続可能な発展は「あると望ましい」選択肢ではなく、企業が長期的に存続するための「不可欠な条件」だといいます。
認識と行動:依然として残るギャップ
フィ・ホア氏は、ベトナムの民間企業において持続可能性への意識が高まりつつある一方で、認識と行動の間には依然として隔たりがあると指摘します。
「多くの企業がESGや循環型経済について語っていますが、それを経営や採用、生産、協業において一貫した戦略として実行している企業はまだ少ないのです」と同氏は述べています。
また、国境を越えたM&Aや日越協力プログラムの経験から、利益と社会的責任のバランスを取れる企業こそが長く発展できると強調しました。
ESG ― 日本の投資家にとっての最重要基準
日本においてESGはもはや新しい概念ではなく、投資判断における必須基準となっています。日本のファンドや大手企業は、持続可能な発展の方針を明確に持つパートナーを重視しています。例えば、排出削減、労働者の権利保障、透明性の高いガバナンスなどです。
つまり、ベトナム企業が成長のみを追い、持続可能性を欠けば、日本の投資家から長期的な信頼を得ることは難しいでしょう。逆に、たとえ基本的なレベルであってもESG思考を持つことは、大きな競争優位となるのです。
長期的思考と企業倫理
フィ・ホア氏は次のように強調します。
「持続可能な企業の共通点は、長期的な思考と企業倫理を重んじる姿勢です。彼らは短期的な利益目標だけでなく、『5年後、10年後に自社は何を残すのか』という問いを常に持っています。」
その具体例として、イオングループの取り組みを紹介しました。2020年の歴史的な洪水後、イオンはフエ市に建設中のイオンモールの基礎を5メートル引き上げ、災害時に地域住民の避難場所として活用できるようにしました。これは法的義務ではなく、地域社会への責任感から下された決断でした。

政策の役割
フィ・ホア氏はまた、国家政策が持続可能経営を後押しする重要な役割を担っていると指摘します。具体的には、税制優遇、グリーンファイナンス支援、クリーン技術導入補助、中小企業に適したESG基準の構築などが有効だとしています。
ONE-VALUE ― 理念から行動へ
日本にルーツを持つONE-VALUEは、社内文化にESGを組み込み、省エネルギーや学習文化の醸成、働きやすい環境づくりに取り組んでいます。
事業領域では、将来の成長に直結する再生可能エネルギーや先端農業に注力し、リソースを分散させるのではなく重点的に投資しています。
こうした姿勢により、ONE-VALUEはベトナム企業と日本の投資家を結ぶ信頼の橋渡し役となり、スマート農業、カーボンクレジット、グリーントランスフォーメーションに関する多数の協力プロジェクトに参画しています。

女性リーダーと持続可能な発展
フィ・ホア氏は、女性は持続可能な価値観に自然に結びつく直感を持っていると語ります。共感力、バランス感覚、長期的な視野――これらは持続可能な経営を導く上で大きな強みです。
「女性リーダーのいる企業は、職場環境や従業員の福利厚生、企業文化の一体感により強く配慮する傾向があります。これらは持続可能な発展に不可欠な基盤なのです」と同氏は述べました。
出典: Nhịp sống thị trường

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