ハノイ、2025年8月12日 –
ベトナムと日本は、インフラ、技術、持続可能な発展の分野で協力を拡大する新たな段階に入ろうとしています。ファム・ミン・チン首相と日本企業コミュニティとの対話において、多くの重要課題が議論され、その中でも特に注目されたのは、ハノイとホーチミン市における都市鉄道プロジェクトの早期実施を推進する提案でした。これらのプロジェクトは、ベトナムの都市交通の近代化戦略において中核的な役割を担うと期待されています。
ファム・ミン・チン首相と日本企業代表。写真:VGP
協力のボトルネック解消に向けた戦略的対話
今回の対話は、2025年に入って2回目となり、ファム・ミン・チン首相が主宰しました。これは、ベトナム政府と日本企業の間で定期的かつ継続的に行われている対話の一環であり、両国が「投資協力における障害を徹底的に解決する」という強いコミットメントを明確に示すものです。
会合では、貿易、投資、インフラ開発、医療、エネルギー転換など、幅広い分野にわたる日越協力の現状が総合的に検証されました。具体的な案件としては、ベンルック–ロンタイン高速道路、ホーチミン都市鉄道1号線(ベンタイン–スイティエン区間)、ベトナム・日本友好チョーレイ病院などに関する課題が、日本側から早期解決を要望されました。
さらに、日本企業は、ハノイ・ホーチミン両市の都市鉄道システム、メコンデルタ地域のインフラ開発、ハノイ北部のスマートシティ建設といった大規模プロジェクトへの参画と推進を強く希望しました。これらの分野は戦略的な意味を持ち、経済的利益だけでなく、近い将来におけるベトナム都市の姿を大きく変える可能性を秘めています。
ファム・ミン・チン首相が発言。写真:VGP
日越包括的戦略的パートナーシップ:新たな協力の時代へ
ファム・ミン・チン首相は発言の中で、両国関係が「包括的戦略的パートナーシップ」に格上げされたことにより、協力の新時代を切り開く強固な基盤が築かれたと強調しました。特に、経済・貿易・投資分野は引き続き両国関係の柱であり、際立った成果を示していると述べました。
首相は、これらの合意を具体化するために、ベトナム・日本合同タスクフォースを設立し、権限を持って直接的に問題解決にあたるよう提案しました。そして「課題を最後まで徹底的に解決する姿勢が必要であり、誠意と信頼に基づき、責任者と期限を明確にした上で進めていく」と強調しました。
このアプローチは、日本企業にとっての信頼を高めると同時に、ベトナムにおける重要インフラ事業の透明性と実現可能性を向上させるものと期待されています。
日本企業に広がる新たな投資機会
首相は、日本企業からの提案を歓迎し、関係省庁や地方自治体に具体的な実施を指示しました。ベトナム政府は、日本企業に対し以下の重点分野でのさらなる投資を呼びかけています:
- エネルギー・クリーン電力インフラ:再生可能エネルギー、新エネルギー、AZEC(アジア・ゼロエミッション共同体)枠組みにおける排出削減事業。
- 鉄道・交通インフラ:特に大都市の渋滞・環境問題解決に不可欠な都市鉄道プロジェクト。
- 鉱物資源の採掘・加工:産業供給チェーンの持続的確保。
- 先端技術・デジタル転換:AI、ビッグデータ、半導体産業などの重点分野での高度人材育成。
さらに、ベトナム政府は日本企業に対し、科学技術移転、スマートマネジメント経験の共有、制度改革への助言を求めています。同時に、日本からの投資を優先的に呼び込む制度設計や、ベトナム企業のグローバル・サプライチェーン参入支援についても積極的に意見を受け入れる姿勢を示しました。
グリーンかつ持続可能な発展に向けて
今回の対話で特に注目されたのは、日本企業の共通関心であるグリーントランスポートとエネルギー転換です。これは、ベトナムが掲げる排出削減および気候変動対策のコミットメントと一致しています。
ファム・ミン・チン首相は、「グリーン成長は地球規模の課題であり、国家、企業、国民、そして国際社会全体の協力が必要だ」と述べました。ベトナムは、最適な解決策を選択し、調和のとれたロードマップで進めることで、すべての関係者の利益を保証し、持続可能でクリーンな社会を構築するとしています。
日本がベトナムと共に進めるハノイ・ホーチミン都市鉄道、クリーンエネルギー、スマートシティ建設は、経済的意義に加え、気候変動対策における国際的責任を共有する姿勢を象徴しています。
日本企業からの期待
日本企業は、ベトナム政府の迅速な対応と前向きな姿勢を高く評価しました。特に、土地法改正、税還付制度の改善、食品安全基準の見直しといった政策改革は、投資環境をさらに整備し、協力を円滑化するものと期待されています。
ベトナムは、2045年までに「高所得国」入りを目指すとともに、2050年には「ネットゼロ排出」達成を国際公約としています。その実現に向け、日本という最大級の経済パートナーの参画は極めて重要です。
日本企業にとって、これはダイナミックに成長する市場での存在感を確立する絶好の機会であり、両国の持続的成長に資する大きな一歩となるでしょう。
📌 出典:ベトナム電子新聞「Tien Phong」

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